色黒の豚

飛ばねえ豚はただの豚だ

サラズゲストハウス

 ウランバートルの最後は、Sara’s guesthouse というゲストハウスに泊まった。その名の通り、サラさんというおばさんが経営する所で、外国人が沢山集っていた。サラさんは、綺麗な発音の英語を喋り、また優しくも落ち着いていた。そのサラさんを慕うように、長期滞在する外国人客もちらほらいた。

 共同スペースで、ヒッピーのようなアメリカ人と喋った。長髪で、服がボロボロしている。聞けば、このゲストハウスには一か月ぐらいいるらしい。その前もアジアや南米をふらふらしていて、こうしてゲストハウス暮らしを続けているらしい。もう数年はアメリカに帰っていないそうだった。夜になるとウォッカをホイホイくれるので、ホイホイ飲んだ。

 彼は酔ってくると、PCyoutubeを開き、部屋にあったテレビとリンクさせた。そうして、アメリカの野外音楽フェスの動画を流した。その後は、音楽に聞き入ったようで、あまり喋らなかった。彼の様に、世界を放浪するというのは自由気ままなようでいて、常に仮の居場所にいる寂しさもあるんだろうとか勝手なことを思った。

 朝はなかなか起きる気になれず、昼前までベッドにいた。しかし、何とも腹が減ったので、のろのろ起き上がって共同スペースに向かうと、サラさんが朝ごはんを食べるかと聞いてくれた。ご飯探しに付近を探索せねばなるまいと思っていた手前、おれは大いに感動した。    

 ごはんは、モンゴルの小さい餃子のようなものと、簡単なサラダだったが、とにかく優しい味に感じられた。人間、予想外のことにこそ、感動するものだなと思った。よく見れば、朝ご飯つき、と予約したサイトには書いてあったが。

 またいつか来たいなとか、サラさん元気でね、とか思いながら宿を出た。

 

                              モンゴル編 おわり